あの温泉から〜斜陽館へ

再び海沿いに戻る。
なにやら「サンタ村」というパークがあったが、軽く駐車場を一周してスルー。
サンタ村の郵便局というのもあった。
冬なら結構にぎわっていそうだが、夏なので閑散としていた。

で、だらだらと不老不死温泉に到着。
ここは、波打ち際に露天風呂があることで有名だ。
駐車場に車をとめると、すぐに露天風呂が見える。

ネットで事前に調べたところ無料っぽかったのだが、どうも温泉の入り口に旅館の従業員風の人が立ってみている。
波打ち際の〜と書いたが、実際は旅館の露天風呂なので、駐車場も旅館の駐車場にとめていたりするのだ。
というわけで、有料でした(600円:内湯も入れます)
内湯の前でチケットを買うと店員さんが手首に黄色いテープを巻いてくれる。
これで、識別するわけだ。
で、ざっと内湯につかり、再び服を着て、いざ露天へ(100メートルくらい離れているうえに、風呂に入らずただ見に来ている人も多いので、タオル一枚では移動できないのだ)
お湯は茶色。
こういう色のお湯は初めてだ。
そしてなんとなくしょっぱい(と思う。記憶違いかもしれないが)
そして、目の前には荒れる日本海が。
絶景といえば絶景。
どちらかというと、景色よりもシチュエーションが楽しい。
風呂に入っているのに手を伸ばせば海に届きそうなのだから。
そして、目の前にはウミネコがとまっていたりするし。
フィ〜!
気持ちいいなぁ〜、と思っていると後ろから「カシャンカシャンカシャン」と音がする。
もしやと思い振り返ると・・・
おじさんカメラ持ち込んでるよ。
しかも一眼レフじゃん。
しかも風呂に浸かりながら撮ってるじゃん。
つうか、オレも写ってねえか?

よく見ると7割ぐらいの人が密かにカメラを持ち込んでいる。
一人が撮りだすと、堰を切ったかのようにみんな記念写真を撮り始めたのだった。
もちろん、良識のあるオレは持ち込んでいなかった。
ので、風呂から出た後、カメラを持って再度露天風呂へ。

こんな風呂でした。
おすすめです。



これだけ書いても、まだこの日は9:30時点だったりする。
よって、以後少しとばす。
この後、五所川原市で昼食。
ショッピングモール内にある「ラーメン街道」の「まるでん」にて「温玉味噌ラーメン」を食す。味は、「すみれ」の味噌ラーメンを複雑にしたような感じ。果たしてここが青森ラーメンの店なのかは最後までわからなかった。ここは最近いろんなとこに出来ているスケールを小さくしたラーメン博物館のようなところで、日本中の有名店が入っている。だから隣の店は「坂内食堂」だったりする。自分的には「坂内食堂」好きなので、かなり惹かれたのだが、勘で青森っぽい「まるでん」にした)
次に、隣町の金木町で太宰治の生家「斜陽館」を見学。
でけぇ。
子供頃の写真を見ると、太宰よりも兄弟のほうがハンサムだな。
父親が貴族院議員だったとは知らなかった。
ちなみに斜陽館の向かいにある金木銀行は、太宰家(正式には津島家)の帳簿を管理するためにつくった銀行らしい。つまり、かなりの地方名士の家なのだ。これも知らなかった。

さらに北上を続ける。
今晩は龍飛岬にテントを張ると決めていたので、時間調整をしながら進む。
途中、十三湖という湖を見学。
ここは水が、泥水のように茶色いのでびびる。
なんか、汚い感じがする。なぜあんなに濁っているのか?
看板に解説が書いてあった気がしたが、忘れた。

さらに北上。
ついに龍飛岬まで、15キロの道の駅「こどまり」に到着。
ところが、ここで海沿いの339号線が、台風16号の影響による土砂崩れのため、通行止になってしまった。
時間に余裕を見てきたものの、逆から回り込むには日が暮れてしまう。
考えた結果、とりあえず風呂に入ることにした。
道の駅のおねいさんに聞いて、近くの小泊町日帰り温泉を教えてもらう。
が、この小泊町で猛烈に道に迷った。
予定を狂わせる通行止めに加え、空は今にも雨が降り出さんばかりである。
風がでてきたせいで、海も荒れていて、一瞬、十三湖が続いているかと思うほど打ち寄せる波は茶色く濁っている。
心は完全に焦りで一杯になってしまった。
そして、やっと風呂にたどり着くも、風呂には石鹸もシャンプーも用意されていない。
(東北の温泉はとても安いが、備品が少ない)
しかたないので、ゆっくりと湯につかり心を静める。
よし、決断だ。
回り込むルートは無し。
小泊での通行止めが解除されなかったら、そこの公園にテントを張って明日を待とう。
うむ、決定!
ザバッと風呂から出で、再び道の駅に向かう。
すると電光掲示板には「通行止め解除」の文字が・・・
よし、ついてるぜ!
さっそくコンビニで弁当とビールを仕入れる。
ついでにレジのおばちゃんに龍飛岬でテントがはれそうな場所を聞いてみると、
「あるにはあるが、この天気でキャンプ?」とかわいそうな人を見る目つきをされ、再びテンションが下がる。
しかし、決めたからには行きましょ。
ええ、行きましょう。
と、脳内一人会話でなんとか持ち直し、グイグイすすむ。
この時点で16:30.
日暮れまで1時間くらいだ。
おばちゃんが言うには、龍飛岬まで1時間かかるらしい。
するとテントを張る前に日が暮れてしまい、大変困る。
よって、車をとばす。
夕暮れに解除された339号線は当然のように全く車が走っていなかった。
よって、晴れていれば最高のドライブコースになりそうな、龍泊ラインを、両方の車線をつかって必死にマーチがとばす。
日が暮れるまえに、太陽が沈むまえに・・・
なぜか脳内は体育会系となっていた。
そして、45分で到着。
この間、すれ違った車はたったの3台。
到着したキャンプ場にテントを張っている人はゼロ。
というか・・・
風がつえ〜!
軽い台風ぐらいある。
普通にテントを立てることが出来ず、まずペグで固定することから始める。
それでも、テントがとばされそうになる。
やっとのことで、真っ暗になる直前にテントに潜り込む。
すると、今度は強風でテントが揺れまくり、室内にしても風の音が凄い。
ゴウゴウと音をたて、それに合わせて室内の空気が揺れる。
テントも揺れまくる。

ただでさえ疲れと、湯冷めと、不安により心身ともにストレスがかかっているのに果たして、今晩を乗り切れるのだろうか?と自問する。
いや、ここを乗り切れば、自分のテント適応可能範囲がグッと広がるはずだ、と若干マゾ気味な間違ったポジティブシンキングで、夕食とりかかる。
もちろん食欲はない。
が、喰わねばやられる!というまたしてもよく分からない強迫観念に押されて、弁当とビールを摂取する。
食べ終われば、真っ暗でやることは何もない。
風の轟音と揺れるテントの天井を見ながらシュラフに潜り込む。
そして、少し考える。
万が一、北朝鮮に拉致られたら、ぜったい連れてがれるだろうな。
ここの半径1キロとか、多分オレしかいないし。
大体ここのキャンプ場も営業期間がすぎているので、トイレすら閉鎖されている状況だ。
人が泊まることを想定していないじゃないか。
つうか、オレが違法キャンプしてるのか?
ともあれ、北朝鮮だけはこないでくれ・・・
などと、3分ほど思うも、疲れとビールであっさりと沈没。
人間どんなにうるさくても、ギリギリの精神状態でも寝れるもんだ。
この日も19時前には眠りに付いたのでした。