日本人の法意識 (岩波新書 青版A-43)

日本人の法意識 (岩波新書 青版A-43)


ジャンル:法規 
お薦め度:★★★★☆
法規8冊目
基礎力強化のための一冊。
明治から昭和にかけての日本人の法意識の変遷がわかる。
第2章以外は、初心者でも分かりやすく書いてある。
面白かったのは、戦時中の所有権の意識のエピソード。
当時「無駄遣いは敵だ」とのスローガンがあった。
それをもじってある郵便局に次のような標語が貼り出された。
「公物と思う心が既に敵」
これは、どういうことかというと、
郵便局に備え付けの備品など、公の物にたいして、
市民はガンガン使った(無駄遣いした)という事実の裏返しである。
つまり、お上が使ってよいと差し出したものは、
世情がどうであれ、使わなければ損だ、くらいの意識だったということだ。
一見、昔は公を大事にした秩序のある社会だったと思いがちだが、
ことに所有権の意識に関しては、あまり品が良いとはいえない状態だったようである。