四国八十八か所ガイジン夏遍路 (小学館文庫)

四国八十八か所ガイジン夏遍路 (小学館文庫)

ジャンル:紀行記 
お薦め度:★★★★☆
ニュージーランド在住のクレイグ・マクラクランの日本無茶旅の第3弾。
四国八十八箇所巡礼を歩きとおして、1ヶ月で踏破する。
このシリーズの面白さは、著者の驚異的な身体の強さだ。
酷暑の四国を毎日40〜50キロも歩いている!
しかも、半分以上は野宿して過ごしている!
登山をして、ジョギングをする自分からすると毎日この距離は、肉体的にそうとう無理のある距離だ。少なくとも一般人は真似してはいけない。
また、野宿旅(テントだが)をもつ自分からすると、ただ公園や寺のベンチでゴロ寝を続けるスタイルも凄い。
これで翌日も40キロ歩いているところが恐ろしい。
そして、メチャクチャ面白い。
ひっかかった一節
徳島から高知へむかう途中、次の寺まで80キロもあると知って、気持ちが弱った著者が、港で大型フェリーを見て、帰りたいと誘惑に駆られる。
「このままチケット売り場へ突進しそうなわたしを引き留めたのは、ほかならぬわたしの魂だった。魂には、理性も理論もない。だが、魂には、霊場巡りをまっとうしたいという確固たる不動の信念がある。結局この魂が、勝利を収めたのだった。」
読んでいて論理関係が分かりにくいので引っかかったのだ。
自分の内心の声(帰りたい)と、理性(帰らず旅を続ける)の葛藤で、内心の声が勝ち、帰ろうと思う。
そこへ突如、上位の概念として魂が登場する。
この感覚は、日本人には分かりにくいと思う。
ここが、歩き続ける気持ちの強さの秘密なのだろうか。
っていうか、魂は不動の信念をもっているのか?
信念って理性に属すると思ってるんだが。
ようするに、自分から離れた第三者のように魂(信念も持ってる)が、立ち現れてくることが、感覚的に分かりにくいのだな。