逆風を受ける

某所の駅伝大会に職場のメンバーと参加。

自分が走った区間は、土手沿いの2.1キロ。
距離は短いが、全過程で向かい風だ。
おりしも悪天候のため、もの凄い風が吹き付けてくる。
アップで、全行程を往復試走してみたのだが、あまりの風の強さで前に進まない。
そこで、先輩から策を授かる。
それは、スリップストリーム走法。
F1なんかで使われるテクニックだ。
簡単に言うと、前の選手の後ろにピタリと張り付き、風よけに利用するというもの。

で、本番。
中継所の50mくらい手前に選手が現れると、役員がそのチームの番号を言うシステムのため、ウインドブレーカーを脱ぐ時間がない。
よって、サポートメンバーのいないチームは、早々にユニフォームになっている。
自分も10分前くらいから長袖とジャージ長ズボンになっていた。
これが寒い。
あっという間にアップで暖めた体が冷えてゆく。
しかし、これは序の口だった。

たすきを受け取った後、走り出す。
順調に飛ばす。
が、徐々にスピードがでなくなる。
風に押し戻されるのだ。
そして、寒い。

冬山登山の時に、放射冷却現象の起きた尾瀬でマイナス25度を経験したことがある。
体感的には、そのときより寒い。
何だが、体が凍りつくような寒さである。
走っているので、熱は体内からでてくる。
しかし、それより速いスピードで冷風が体温を奪ってゆくのだ。

そこで、スリップストリームを使う。
おお、楽だ。
前で走る選手がちんたらしてるようにしか思えないほど、楽だ。
あまりに楽なので、抜きにでる。
すると、風の抵抗にあい、スピードが伸びずぶっちぎれない。
難しい。

そして、すごく寒い。
死にそうだ、というより、死にたくなるような冷たさだ。

というわけで、永遠とも思えた2.1キロを10分33秒という平凡なタイムで走破したのでした。

帰宅後、鼻水と咳とくしゃみが止まらなかった。
あの突風には、花粉が混じっていたのではないかと、疑っている。