入道雲のたち昇る日には

お盆は終わったが、明日は墓参りに行ってくる。
2年前に突然この世を去ってしまったサークルの先輩の3回忌だ。

夢をかなえて編集職としてバリバリ働き出した矢先に、体調不良に陥り、原因を調べるため検査入院していた先の病院で、急に容態が悪化して亡くなってしまった。
原因は不明。
あまりにも予想外の展開だったため、訃報が流れたときもみんな冗談だと思った位だ。
なにせ、本人も軽く考えていたので検査入院したことすらほとんど人に教えてなかった。

年齢にして一歳年上の彼がなくなったのが27歳の夏。
彼は27歳で年をとることを止めてしまった。
そして今、自分は28歳の夏を迎えている。

いつの間にか先輩だった人の年齢を追い越している。
不思議な気分だ。
自分は毎日、彼が生きられなかった時間を過ごしている。

もちろん、日々の生活ではそんなことは思い出さない。
ただ、うねるような夏の日になると、命日が近いこと知る。

葬式の日は、現実感がないほどの暑い夏日だった。
淡々と進行する葬儀からは、彼が死んだという現実感を掴み取ることは出来なかった。
すべてはフワフワととらえどころなく進んでいった。
喪服を着た僕の顔からは、ひたすら玉のような汗が流れつづけた。
セミはそしらぬ顔で、元気に鳴きつづけていた。

去年の命日も、暑かった。
まだ現実感はない。

今年もニョキニョキと入道雲のたち昇る、あっぱれな夏日になってほしい。